ニセコは夏本番の暑さの中、秋の開催に向けて 2名のプロライダーを招聘し、今年開催予定のPAS Exlong 120kmコースをテストライドしてきました。
同行したコースディレクターの杉本が、今年のNISEKO GRAVELコースの走った感想や気をつけるポイントなどを2人にインタビューしましたのでご覧ください。
初めてのNISEKO GRAVELをプロロードレーサー小森 亮平が走破
テストライドお疲れ様でした。小森さんの自己紹介をお願いします。
僕は主にマトリックスパワータグというチームに所属してロードレースを走っているのですが、オフロード系の種目を走るために自分のチームも立ち上げてシクロクロスやMTB、そして今年からグラベルの大会にも出場しています。
6月にアメリカで開催された世界最大規模のグラベルイベントUNBOUND GRAVELの200マイル(330km/グラベル率)のクラスにも参加してきました。
小森さんは初めてのNISEKO GRAVEL ということですが、今回のコース全体の印象はいかがでしたか?
いやー、北海道のグラベルを侮っていました。
もっと短めの、ちょっとしたオフロードが点々とあるのかと思っていましたが、走りやすいグラベルがこれでもかというほど続いていたので驚きました。
平均スピードも予想よりも結構速かったように思います。路面もスムーズなところが多く、もちろん長い上りはしんどいのですが、下りはゆっくり走れば危なくないし慣れてくればそこそこ飛ばせます。スピード感のあるコースになっていると思います。
高揚感を感じたポイント、思わず「ヤッホー!」と言いたくなるようなポイントはありましたか?
グラベルの上りを終えた後の高いところから見える景色、そしてその後の気持ちいい下りも良かったです。
途中、野生の狐に出会ったときはテンションが上がりましたね。そして、山から抜けた途中にある川沿いの平坦区間では、北海道らしい雄大な景色の中気持ちよくバイクを走らせられるところも良かったです。
ニセコエリアのグラベルを走る上でタイヤはどのように選びましたか?またおすすめの太さなどはありますか?
今回の試走では、僕は700C×40Cのものにタイヤインサート入れてましたが、本番でも同じものを使うと思います。650Bにもっと太いタイヤの組み合わせも快適で良いかもしれません。
細すぎるものはコントロールがシビアになるし大きめの石やカドにヒットさせてしまうリスクも上がります。このニセコグラベルはコースがワンウェイなので、ある程度エアボリュームのあるタイヤの方が先の見えないコースでは安心感がありますよね。
リラックスして走れるので結果的に余裕を持ってイベントを楽しむことができると思います。タイヤインサートも、多少の重量増にはなりますが、リスクを回避できるのでおすすめアイテムです。
仮に天候が悪くなったとしても、泥でグリップが足らないということにはなりにくいと思うので、タイヤのブロックのパターンは大人しめを選びたいところです。グラベル率が高いとはいえ舗装路もそれなりに走りますし。
普段出場されているレースとは異なる今回のようなライドイベントの楽しみ方や注意点はありますか?
タイムを競うレースではないので余裕を持って楽しんでもらえたら嬉しいです。交通規制もかけていないので周りに注意を払いながら、そして、もしコース脇に止まって困ってそうな人がいたらぜひ声をかけてあげてください。
参加してるみんなで助け合いながら楽しめるのもグラベルイベントの良いところだと思います。止まっている人がいたら、「パンク?チューブある?なければあげるよ」くらい余裕があると良いですね。
アメリカのグラベルレースでも、結構前の方で順位争いをしているはずなのに困った時はお互いに助け合ったりしていますから。
120km,80kmコースには4箇所のエイド(補給所)を予定しているのですが、エイドに期待すること、参加者の方がエイド利用するにあたっての注意点などはありますか?
エイドステーションではその地域の特産品などが振る舞われると聞いていますので、どんなものが食べられるか楽しみですよね。2022年はメロンが振舞われたと聞きましたが、試食チェックしたかったです(笑)。
僕だったら、タイムリミットギリギリまでエイドを楽しみたいと思っていますが、休みすぎには注意ですかね。
エイドそのものを楽しむということももちろんなのですが、コース全体をどう走りきるかのリズムを作れるポイントもエイドの過ごし方であると思います。
多くの参加者がいるイベントだと、周りに流されてしまって休むべきポイントで休まなかったり、逆にゆっくりし過ぎてしまったり。事前にコースマップをよく見てある程度のペース配分を考えておいて、体力に不安があれば序盤からちゃんと休んでオーバーペースにならないように気をつけたいですね。
前の質問に関連して、ご自身で準備するもの(水分、食料、服装、装備品など)で注意するものはありますか?
走りやすいとはいっても、これだけの長距離になるとトラブルもつきものです。大自然の中を走るので、急な天候の変化、複数回のパンクや虫刺され等に対応できる装備は準備しておいた方がいいと思います。
イベント中は大会運営側でもコースを巡回チェックしてはいますが、広いコースなのでなるべく自力で対処できるようにしておいた方がいいに越したことはありません。
次のエイドステーションまで予想以上に時間がかかってしまうこともあるので、水や食料も「ちょっと多いかな」くらい用意していた方が安心です。
テストライド中に小森さんから半分溶けたグミをいただいてすごいリフレッシュできたのですが、食べ物や乗り方など小森さんならではのロングライドの対応方法はありますか?
純粋に「自転車で走る」っていうことだけを考えると、エネルギーを摂取するためだけに作られたジェル等の補給食でも良いのですが、これだけの長距離になってくると味気ない補給食だけだと途中で食べたくなくなってきたりするので、美味しいと思える「おやつ」を用意しておくと良いと思います。
そういった意味でグミは気軽に糖分を摂取できて食べ応えもあるのでおすすめです。僕もアメリカの330kmのレースを走った時にはグミを持って走りましたよ!
120kmコースは女性でも走れますか?どんな人が楽しめるでしょうか。
女性に限らずですが、普段自転車に乗っていない人だと120kmの完走は正直なところ難しいかもしれません。
でも、普段から週末に自転車ライドを楽しんでいるくらい乗っている人だったら大丈夫だと思います。グラベルの下りも、ゆっくり走れば誰でも楽しめるようなコースになっていると思います。
途中にエイドステーションもありますので、トイレもあるし、気がついたら周りに誰もいなくてポツンと一人で不安になるというような可能性は低いと思います。今回は不安だからということでLコースかMコースにしたとしても、いつかはXLコースにチャレンジしてみてほしいですね!
イベント参加に悩まれている方、どのカテゴリーででエントリーするか悩まれている方に向けてのアドバイスなどはありますか?
個人的には、せっかく北海道まで行くので最長の120kmを楽しむのが一番おすすめです。短い距離にして物足りなかったら後悔しちゃいますからね(笑) でも、短い距離のクラスでも十分楽しめると思いますよ。
最後に、NISEKO GAVEL AUTUMN RIDE へ参加される方へメッセージをお願いします。
ニセコの魅力がつまったこのイベントを良い思い出にしていただくために、しっかり準備してきてください。できれば事前にオフロードを何度か走って慣れておくと景色を楽しむ余裕もできて、良い思い出になると思います。
そしてもし時間が許すのであればこのイベントだけでなく余裕を持った日程で来ていただいて観光も楽しんでもらえたらなと思います。
日本人男子で初めて200マイルのプロクラスのグラベルレース「UNBOUND」に参加した経験を持つ小森 亮平さん。
森、川、畑とグラベル状況も景色も目紛しく変わっていく、旅するようなニセコのグラベルライドの中で、絶景ポイントではしっかり写真や動画の撮影し、おやつも装備も万全に準備して走行を楽しんでいる姿が印象的でした。
Panaracer NISEKO GRAVEL AUTUMN RIDE 2023はPanaracer様協力のもと、各エイドポイントにメカニックテントも配備予定!
困った時のお助けポイントとして使ってもらえれば嬉しいですが、基本は自分の装備はおやつも含め自分で持つということが、安全な走行とグラベルライドを楽しむ余裕に繋がりますね。
小森さん、ありがとうございました!